咲いても、枯れても1~サクラ色~



付き人が、その主人の相手を好きになる。




それは、絶対に駄目。





例えば、頼稜さんが私に恋をしてしまったら、それは重罪。



鈴ちゃんが拓を好くよりも、かなり。





『もし恋をしてしまったら……ど、どうなるの?』




確実に揺れている私に対して、淡々と答える鈴ちゃん。





自分は恋などしない、そんな自信があるかのよう。






『メイドや執事の場合、西条を離れさせられます。付き人の場合、永久に好いた相手に会えなくなります』




もちろん西条も離れさせられます、と続けた。





怖い、と率直に思った。




好きになってしまうのは、恋に落ちてしまうのは、



人ならば、仕方のないことなのに。



< 266 / 279 >

この作品をシェア

pagetop