咲いても、枯れても1~サクラ色~
『遅くなってごめんね』
拓の部屋を訪ねると、拓がガラス戸を開けて、桜を眺めていた。
その姿は、とても綺麗だった。
『おお、さくらか。今日はいつもと違う系統の服だな』
そう言って、私の全身を眺める。
私も、拓の傍まで寄って行く。
そうして隣に並ぶ。
『ええ。リボンとドレスがお揃いなのよ』
こんな服着たこともなかったけれど、拓に見てもらえるだけで着れて良かった、と思う。
その瞳に、少しでも可愛く映れるだけで。
もっと可愛くなって、綺麗になって、拓に好かれたい。
ああ、こんなに貪欲だなんて。
拓を独占したいなんて。