咲いても、枯れても1~サクラ色~
『お前見てると危なっかしくて、ほっとけないんだけど』
呆られながらも、心配してくれる藤井くんに驚いた。
意外、だったから。
『あ、ありがと。藤井くん…』
改めて名字を口に出してみると、なんか変な気がする。
今まで、「あんた」とかだったから。
変に恥ずかしくなっちゃった。
顔がちょっと熱くなるのがわかる。
そんな私を見て、藤井くんは口を押さえて笑った。
『なに照れてんだよっ』
その笑顔は無邪気で、温かかった。
初めて私にそういう笑顔を見せてくれた。
嬉しい。
変な、気持ち。
心臓の音が、聞こえる。
そして──……
藤井くんの顔も少し赤い気がした。
良い友達に、なれたのかな?
『……なあ』
『へ?』
『俺のことも名前で呼べよ、白純美』
私はドキッとした。
なぜか、わからないけど。
名前を呼ばれた、それだけでこんな気持ちになるのは彼だけ。
そう思っていたのに。
不意に訪れたこの感情に、
どうしたら良いかわからなかった。