咲いても、枯れても1~サクラ色~



『さくら、お前は染井吉野になど成るなよ?』




『え?』






なんで、と眉を歪める。




貴方が一番好きな桜、染井吉野に成ってはいけない?





途端に、胸が苦しくなる。




不安が胸に巣食う。






『な、なんで?』




簡単に揺らいでしまう。



貴方の一言で。





私は、完全に貴方の手の内に居る。




感情さえも、左右される。





そうなってしまうほどに、貴方に溺れきっている。





私の不安そうな顔を見て、いつも変わらぬ笑顔で返す。





そっと、私の髪に触れる。




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