咲いても、枯れても1~サクラ色~
『さくらは、長所ならぬ良い所が、人に非常に好かれる所がある』
『な、無いわよ……』
人に好かれないわよ。
クラスには馴染めないし、
海斗とは喧嘩ばかりだし、
秀くんにも拒絶されるし、
良い所なんて見当たらない。
拓に好かれてさえすれば良い、と思っているもの。
『けれど、さくらは染井吉野のように有名に成らなくて良い。周りに好かれなくて良い』
ようやく、拓の胸の内に咲く小さな不安の芽に気付く。
気付くけれど、なんだか嬉しい。
たまらなく。