咲いても、枯れても1~サクラ色~



拓は私を強く抱きしめ、耳元で囁いた。




『白純美は俺の傍に居れば良いんだ。この手の内に』






その名に、はっとする。




胸が飛び跳ねる。





貴方の傍に居れば良い。



やっぱり素直じゃないわね、と思って笑う。




裏返して、遠回りして、
ようやく知ることの出来る愛。




貴方の、本音。




『私は、いつだって貴方の傍に居るわよ。ここが私の居場所なんだから』





なんど同じことを繰り返し伝えても、やはり不安になる。





それは当たり前。




だから何度だって、伝える。





何度咲いても、舞い散る桜。




─────何度愛を伝えても、不安になる心。





何度枯れても、咲き誇る桜。




─────何度不安になっても、愛を手にいれる心。






そう、貴方と私は、花。





何があっても必ず、咲く。





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