咲いても、枯れても1~サクラ色~
隣の彼
──────朝日が眩しい。
今日の空も、快晴だった。
満天に広がる青に、希望を抱いていた。
登校途中、通りの桜並木が綺麗で目を奪われる。
桜、思い出すのはただ一人。
『っでね!!!!直也が~』
『うんうん』
悪いけれど恵の話も、上の空。
頭も心も、彼でいっぱい。
─────拓。
早くその名を、あなたの前で呼びたい。
この気持ちを、叫びたい。
『ねえ?!白純美~?ちゃんと聞いてくれてんの?!』
『え、あ…う、うん』
昨日、会えて良かった。
ますます想いが強くなったのよ。
私が幸せに浸っていると、後ろから邪魔が入った。
『何一人で笑ってんだよ。気持ち悪いな』
カバンを頭に思いきりぶつけられる。
あまりにも幼稚な行為。
『あんたあ─っ!!!!!』
別に会いたくもないのに、朝から会ってしまう。
『お前、怒ると怖いし』
やつは、ケラケラ笑う。
その横にいる二人も馬鹿にしたように、続けて笑う。
『海斗っ!』
その顔を見て、少し安心した。
昨日、怒ってたから。
また笑ってくれたことが、
また無邪気な笑顔を見せてくれたことが、
嬉しい、と思った。