咲いても、枯れても1~サクラ色~
『なにやってんだよ、白純美』
海斗はその私の左手を、無理矢理掴んだ。
熱い。
海斗は私の手を強く掴んだけど、
「白純美」
─────私の名を呟く声は本当に優しかった。
私たちはそのまま走り出した。
海斗の背中は、意外と広いことを知った。
もっと性格に相当して、狭いかと思ってたから。
…なんてね。
風になびく、綺麗な黒髪。
不意に、髪の隙間から見える笑顔。
気づくと私も、笑っていた。