咲いても、枯れても1~サクラ色~
第ニ章 桃桜
大富豪三家
『西条、拓』
気づけば、口がつぶやく名前。
桜を見ると、何のためらいもなしに、連想される。
今、何してるのかな?
大学?
頭良いのかな?
あの雰囲気からして、秀才だろうと思う。
柔らかい笑顔。
どこか儚い、その姿。
どっかのお金持ちのお坊ちゃん?
そう思うくらい、優美で、男性なのに、綺麗な人。
あの大学だって、ものすごく頭の良い人が集まる。
そこそこの財力と秀才な頭がないと、入学なんて出来ない。
そんなことを前に、お母さんが言ってた。
だから目指すつもりはない。
例え彼があの大学に入っていようと、私が入学出来たとしてもその時には、彼は卒業してしまっているし。
────でも、この辺にそんなに有名なお金持ちの家、あったかしら?
西条。
いかにもお金持ちの名字だけど。