咲いても、枯れても1~サクラ色~
『ねえ、気になったんだけどさ、その“藤井”ってまさか…』
恵はケラケラと笑った。
『私も最初はそう思ったけどさ、それはきっとないでしょ』
私も恵に同意だった。
あんな「大富豪」の「だ」の字も似合わないくらいのやつが、その「藤井家」だなんて、あり得ない。
もしも海斗がその“藤井”だったとしたら、
拓だってその“西条”だわ。
彼には、大富豪並みの優美さがあるもの。
『恵、とにかく帰るっ!!!!また連絡する』
『ちょっと!!!!白純美、まだ話が─…』
『よお』
『白純美ちゃん?』
『あれ?一人で帰るの?』
───ほら、会ってしまったじゃない。