咲いても、枯れても1~サクラ色~
腕に熱が、海斗の熱が、残る。
その熱を、まだ少し冷たい風で冷ます。
──────拓っ!!!!
その名を貴方の前で呼ぶために。
人気がない、桜並木を駆け抜ける。
桜の中に見覚えのある、姿。
不意に瞳に映る。
『た、拓……っっ』
振り返る、桜の笑顔。
会いたかった、
その顔を瞳に焼き付ける。
『さくら…?』
その呼び名が、貴方を本物だと決定付けてくれる。
本物の拓、だと。
『拓っっっ!!!!!!』
走った勢いのまま抱きついてしまう。
拓もそのまま受け止めてくれる。
『また、会えたね』
涙が溢れそうになる。
好き。
この温かさと、柔らかさを
こんなにも求めていたなんて───。