咲いても、枯れても1~サクラ色~



『ますます会ってみたくなったわ』


『だろ?本当に賢いやつなんだ。自慢の弟、だよ』




拓は弟の話になると、とても楽しそうな顔つきになる。


心の底から思う、純粋な気持ちなんだって。

本当に、好きなんだ。



そんなことが自然と伝わってくる。



『本当に好きなのね、秀介くんのこと』



そう言うと、拓は、かあっと顔を赤くした。


『ま、まあな』


可愛い、と思う。



こういう拓も。


桜みたいに柔らかい拓も、

りんごみたいに真っ赤な拓も。



『私も、欲しいな。弟』


気づくと、つぶやいていた。


私は父、母との三人家族。

兄弟も姉妹も、いない。


友達の話を聞いて、時折思う。
私も兄弟が欲しい、と。



喧嘩しても、ずるいと思っても、いらないと思っても、やっぱり大事な家族。


そんな兄弟を。



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