咲いても、枯れても1~サクラ色~
『何よ。もう下校時間でしょう?帰らせてよ』
もう、こんなところで時間を食うのも煩わしい。
早く、行きたいのに。
『お前、何かおかしいぞ?』
おかしい?何が、よ?
私はちっともおかしくなんかないわ。
そう思ったけれど、海斗の後ろで、海斗の意見に同意するような様子の三人を見てたら、抗えなくなってしまう。
『白純美?何かあったの?あ、もしかして…あの日…』
恵が思い出したように言う。
“あの日”
そう、あの日から私は拓にさらに惚れてしまった。
弟の話を楽しそうに話す拓を、私の話で無邪気に笑う拓を、傍で見ていたら、
大富豪の長男、とか忘れてしまいそうになる。
もっと話したい。
そう思ってはいけない?