咲いても、枯れても1~サクラ色~




『お願い、聞いてくれる?』




顔は見れない。



けれど、真剣なんだと悟る。



お願い、あなたの願いなら、なんでも聞くわよ。




『うん。言って?』



そう呟くと、拓は軽く安堵したようだった。


けれど、抱きしめるその腕の力は、一向に弱まらない。




『俺の…』



『うん』




『俺の、傍に居て』



その言葉は、一語一語に重みがある。


軽い気持ち、では無いと。




『どういう…意味?』



どうにも捉えられる言葉。


傍に居て、



今、抱きしめていたいだけ?


ただ寂しいだけ?




それとも─────



永遠に、という意味なの?



わからなくて、もどかしい。




< 86 / 279 >

この作品をシェア

pagetop