咲いても、枯れても１～サクラ色～

拓には笑われたけれど、


まあ、頼稜さんには聞こえてない────





『白純美様、残念でしたね』





気付くと、頼稜さんも笑っている。



『よ、頼稜!!聞いていたのか？』


『拓様、すみません。あまりにも楽しそうでしたので』



普通、こういう話は聞いちゃいけないのよね。

拓が驚くのも、分かるわ。



『それに、』


頼稜さんは言葉を続けた。


『それに、私のお話を為されていたようでしたし』



ばっちり聞いてるわ、この人。


なんだか呆れてしまう。



本当に普段は話を聞いていないのか、と思って。


でも、この人に聞くのが一番早い気がする。



『ねえ、頼稜さん。残念ってことは…違うの？』


頼稜さんは前を見たまま、会話を続けた。



『はい。残念ながら。そんなに若くは無いのですよ』



私の読みは、外れってことね。

でも、本当に見た感じは、拓と変わらないのに。