咲いても、枯れても1~サクラ色~
『ね、誰に仕えるとか、昇進するとかしないとか、それって選べるの?』
二人の話からすると、選べるみたいだけれど。
『一応、な。最終的な決定権は父上にある』
『満期が来ますと、私が希望をするのです。昇進やら、どなたに付きたいか、などを。それを父上様が、どうなさるかで私たち付き人の存在が決まります』
きっと、頼稜さんはその度に、拓の傍に仕えたい、と希望したんでしょうね。
聞かずとも分かる。
拓の気持ちが。
頼稜さんの存在が、たまらなく嬉しい、と。
『良い付き人さんね、頼稜さんは』
幸せそうで、良かった。
にっこりと微笑む。
『ありがとうございます』
『ほら!!頼稜、ちゃんと前見ろよ?』
『大丈夫です。ここに座ってからは、前しか見ておりません』
さすがだな、とも思う。
たわいもなく笑う拓を見ていると、私も幸せになる。
拓と頼稜さん。
互いに大事な存在なのね。