愛しのDarlingは先生様~好きやねん!~


意味あれへん伝言をして、職員室に足を踏み入れた。



「…失礼しまーす」



いっつも職員室に入ったら、自然と足が動く。


2年なってから、何回こーやって職員室きとるんやろ…。



「よーきたな。
じゃあ話よー聞かせてもらおかー」

「話すことありませんわ」



あ、また忘れよった。


えーと、この今しゃべってる気の抜けた感じの中年オヤジ。


これがあたしの担任の宇佐美先生。


通称・ウサで担当教科は国語。



「…お前なぁ、いっつも授業聞いてへんやろ。
将来の夢とかないんか?」



将来の夢ねぇ………。


特にありませんわね。


でも、また『特にありません』言うたらうるさそうやしなぁ……。



「大阪府知事にでもなろうかと」

「お前の学力で、か?」

「えぇ」

「そりゃ無理や」

「大統領なんていい仕事ですよね」

「日本は大統領ちゃうぞー」

「そうでしたわね。ホホホホホ」

「…アホか」

「では、先生を見習って教師にでも」

「お前みたいな生徒持つ俺みたいな教師はしんどいでー」

「じゃあやめときます」

「…結局、何になりたいねん」


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