愛しのDarlingは先生様~好きやねん!~
もう王子様にしか見えへんのですけれども。
「どうしたん…?
愛姫ちゃん、なんか顔真っ赤やで………?」
そう言って、あたしを覗き込む翡翠くんはいつもの翡翠くん。
メガネかけたからかな?
「ううん。
何もない…、うん!!
何もないで!!」
これで翡翠くん好きなった言うたら、あたし完全に面食いやん。
ドキッとしたのは、トキメキじゃなくてただの動悸。
そうや。
あれはただの動悸や。
トキメキなんかやない。
ただの動悸。
「そう…、ただの動………」
「また愛姫のアホがぁぁぁ!!」
「いったぁ!!」
突然どついてきたのは、言うまでもなく栞。
人が独り言言うとる時に、どつくってタイミングが悪いというか、なんと言うか…。
………っていうか、そもそも何で栞がここおるんや?
あたし、今まで実はイケメン騒動でまだ連絡もでけてへんのに………。
「なんでおるん?」
「…“なんでおるん”?
なんでかって?
……歩道橋から人が落ちたってこんだけ大騒ぎなっとるのに、どこに“なんでおるん?”って聞くアホがおんねん!!!!!」