愛しのDarlingは先生様~好きやねん!~
「うん。
聞いたことないやろうけど、日本で一二を争う大企業やで」
「えぇぇぇぇぇ!?」
そんなに!?
そんなデカイの!?
…そんな重要なこと、すんなり言われても………。
「栞ー、そんなんわざわざ言わんでええやん」
「ごめーん」
お盆にジュースを乗っけて部屋に入ってきた涼くんといつも通りの調子で話す栞。
「はい、どうぞ」
「ありがとう…」
こんな話聞いた後やからかな…。
テーブルの上に無造作に置かれた普通のオレンジジュースが、とんでもない超高級品に見える………。
「びっくりした?」
「えっ?」
「家きてみて」
「…あ、うん、まぁ、ね……」
唐突な質問に曖昧な答えしか返せないあたし。
…だって、まださっきの衝撃の余韻が………
「…オレ、ちっちゃい時はここよりもっとデカイ家住んでてさ。
それを知ったら、みんな誰でもオレを敬遠するねん。
先生でさえもオレを特別扱いにする。
…それが嫌で、でも家柄は変わらんし今さら会社畳むなんか考えられへん。
せやから、この家に親父とお袋と妹と、この家に移ってん」