涙の分だけ……

side翔



杏梨を好きになった理由…


もちろんそれはある 


あいつにはわりーけど 


俺の初恋の人と雰囲気がどことなく似ているから 

あいつを見た瞬間 


時間が止まったような気がした



俺の初恋は中1のときだった


初恋は叶わないって言われてるが本当らしいな…… 


彼女は俺の隣の席に座っていて

話しているとかなり意気投合していた 


からかったりすると頬を膨らませて怒ったり 

笑うとふんわりしていて心が和ませられた 


彼女といるとぽかぽかして凄く心地よく感じた 


だから俺はほぼ一目惚れってやつだったのかもしれない 


でもそんな彼女の隣の席にいるのが当たり前だったのに 


ある日彼女が1週間近く休んだ


めっちゃ不安で心配で 

胸が壊れるほど苦しくなった


これほど好きになってるとは自分自身気付かなかった 


そして彼女の友達に家を聞き出し家へと向かった 



ここか… 


と家のまえにいると 


2階の窓から彼女が顔を出していた


俺と目が合うと 


「……秋山くん??」


彼女の目は赤く腫れていて泣いていたようだった 


「お…おう あープリント届けにな…」


「そっか ちょっと待ってね 今あけるね??」 


ガチャ 


玄関のドアが開いた 



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