ring a bell
死にたくなるのには
それなりの理由も
なんとなく……な理由も
見当たらなくて。
でもそれでも、変わりなく、
襲いかかってくるのである。
そんな僕の
唯一の癒やしは
音楽である。
音楽には、
生きた人間のような
表情や鼓動、感情……
その悪意のない生命力がある。
そこに、理由はない。
その偉大な音楽家達の
意思があったとして
それは憎悪や愛だったとして
しかしそれでも僕の心に
傷をつけることはない。
彼らは
僕を知らないし
僕自身に
向けているわけではないから。
その壮絶な憎しみも。
後世に残してまでの愛も。
さてさて。
そろそろ、
本題に入りましょうか。
隣の部屋で、
休日にも関わらず
熱心に学校にやってくる
優秀な生徒、渡辺鈴子。