彼の隣りに寝る女
車は駅近くの複合商業用施設の駐車場前で停止した。

「ひなちゃんにずっと言おうと思ってたことがあるんだ。」

「・・・」

「オレここで働いてるんだ。」

そう言ってアミくんが指差したのは、

パチンコ店だった。

「オレ、ここの店員。」

「・・・」

「実はね・・・」

アミくんは言い出し迷ってる風だった。

「内とは知り合いなんだ。というかアイツもここの従業員だよ。」

衝撃的事実だった。内くんと知り合い!?

「嘘だと思うなら今見てきたらいい。今日はアイツ遅番だからまだいるはず。」

「・・・」

びっくりして言葉が出なかった。

「ひなちゃんのことはこの店で噂だよ。内がかわいい子にゾッコンだって。だからどんな子か見たくてお店に行ったんだ。」

アミくんは話続けた。

「初めはどれくらいかわいいのか見たかったのと、アイツをひやかすことが目的だったけど今は違う。内には僕と会ってることは言わないでほしい。アイツには彼女がいる。同じ従業員で寮で同棲してるんだよ。アイツに敵対心を抱いて言うわけじゃなくて、ひなちゃんはホントにオレのタイプだから付き合ってほしいんだ。」

そう言って車中で私を抱き寄せキスをした。

慌てて拒否をしても意味のない抵抗。

すごくショックだった。

ファーストキスではないけど

こんな風に好きでもない人と・・・

私は何も答えず、その日はさよならをした。
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