彼の隣りに寝る女
久しぶりにその日はお店の送りの車で帰ることにした。

ビルの下で車がくるのを待っている時だった。

「ひなっち!」

私を呼ぶ声の方を見ると内くんが車から手を振っていた。

私は車にかけよった。

「どうしたの?」

「さっき電話くれたのがうれしくて会いにきちゃった!」

私は正直うれしかった。

お店の送りをキャンセルして内くんに送ってもらった。

お店から家までは車でたったの5分。

少し寄り道をしたいと言って公園に連れてってもらった。

「顔の傷どうしたの?」

「・・・・」

「どうしたの?」

「アミとケンカした。ひなっちには関係ないから気にしないで。」

そこまで仲が悪いとは思わなかった。

私はアミくんのことを正直に話した。

キスのことだけ内緒にして。

内くんはかなりムカついている様子だった。

「ひなっち、お店の外でアイツと会わないで。」

「もう会ってないよ。でも・・・」

無言電話のことが気になって内くんに相談した。

それから

今日来てくれて嬉しかったことを素直に話したら

内くんもすごく嬉しそうな顔をした。

誰もいない公園、2人きりなのに

たぶん

彼は私を好きすぎて手も握れない?

そんな空気が漂い

2人の間に少し距離があった。

そんな純粋な彼を好きだと思う瞬間だった。

「帰ろっか。」

内くんから言い出した。

車まで戻る道を

私から内くんの腕をつかんだ。

内くんはまた嬉しそうな顔をした。
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