キミのヤキモチ
「オレは演技とか面倒だから知らないフリさせてもらうけど、カラオケはおごりね」
「あら。そこは別じゃね?」
昼休みの裏庭。オレはタケルにも今回の作戦のシナリオを説明していた。
まぁとくに協力してもらうような場面はないんだけど。
「でも詩織がユウちゃんにホントのこと言わないとは限らないだろ。あの二人仲いいんだし、今だってきっとそのことについて話してるに決まってる」
「あー、そこら辺は大丈夫。オレはあいつの弱み握ってるから」
「弱みって…。お前悪魔だな」
変態に悪魔。
なんと呼ばれようが構わないけど、タケルってまじで詩織の気持ち気付いてないのかな。
意外に鈍感。
たしかに今、ユウがオレとの真相について詩織にいろいろ聞いたりしてるかもしれない。
でもそれはそれで、なんかいいかもって…
本当はどうなのか、いつから好きだったのかって
またあの不安そうな顔で、必死になって聞いてるんだろうなぁ。
ふふ〜ん…
お!?
なんて気分良く鼻唄なんて歌ってると、反対側の校舎でなにやら詩織が一人で考え込んでる様子が見える。
オレはあの後のユウの様子を聞こうと、タケルに「行くぞ」と合図しながら渡り廊下を走った。
「詩織〜」