伽羅子
人間の死体というものは、思いの他に重量があった。

伽羅子の体重は恐らく50キロ前後。

だがそれ以上の重さがあるように感じられた。

一階に準備した一輪車に伽羅子の死体を積み、裏山へと向かう。

その重さに何度もよろけながら、それでも歯を食いしばって歩く。

もう全身疲労で汗まみれだった。

関節という関節が悲鳴を上げ、それ以上に精神が疲弊していた。

人を殺すという事、そしてその罪を隠蔽するという事。

その行為は、こうも神経をすり減らすものなのか。

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