ペアリングを外して
#8





 12月25日。

 目覚めると、ベッドに三村がいなかった。

 トイレにもいない、風呂場にもいない、ベランダにもいない。

 荷物も、ない。

 昨日のことは全て夢だったんだじゃないかと思えてきた時、ゴミ袋に昨日食べたピザの箱が入っているのを見つけた。

 夢ではないことを悟り、慌てて電話をしようと携帯を手に取る。

 しかし、電話をかけることもできなかった。

 発信履歴、着信履歴を含め、「三村菜月」の情報は全て削除されていたのだ。

「嘘だろ……」

 無意識に呟き、テレビの前のソファにへたり込む。

 するとテーブルに並べたリモコン類の下に、折りたたまれた紙が敷いてあるのを見つけた。

 息を飲んでその紙を手に取り、開く。

 案の定、三村からの手紙だった。

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