ペアリングを外して
それが一番楽で、経済的。
そろそろお互いに適齢だし、このまま時機を見て久美と結婚……というのが俺の敷かれたレールだ。
それは互いに暗黙の了解となっており、それなりに貯金などもしている。
一方で、ときめきも何もなくなってしまった味気ない現状が、不満だったりする。
馴れ合いすぎて、俺は本当にこいつが好きなのか、たまに疑問に思ったりもする。
愛情はあれどすっかり味や色をなくしたこの恋愛関係に、突然三村という極上のスパイスが降りかかってきたのだ。
味を占めた俺は、不謹慎ながらも久美の横で三村のことを考えていた。
三村はどうだろうか。
二年どころか三年以上同じ部屋に住んでいる男に、不満があったりしないのだろうか。
馴れ合い方は俺と久美以上のはずだ。
俺は三村にとって、病み付きになれるほどのスパイスになれているだろうか。