ペアリングを外して
まさか、気付かれていたとは思わなかった。
石鹸の匂いなんて自分ではわからなかったし、シャワーを浴びた後に汗をかいたわけだし……。
浅はかだった。
三村のほうはどうだったのだろう。
これほどまでに確信している湯本。
一番危険な人物を疑われてしまったものだ。
こんなことなら、本人である三村を疑われた方がよかった。
賢い彼女なら、ボロを出すこともなくやり過ごしたことだろう。
何も言わないでおいてあげる、と言った湯本に一安心しつつ、いつかはバラされるかもしれないとヒヤヒヤした。
数分後、久美がやってきた。
久美は湯本を見るなり、思いっきり頭を下げた。
「私なんかのために呼び出してしまってすみません!」
湯本は何も知らないかのようにヘラヘラ笑って、
「気にしないで。本当にただの中学の同級生だから、大丈夫よ」
その言葉に久美の笑顔が戻った。
その辺の居酒屋に入って、三人で食事をする。
俺のオゴリだというのに遠慮のない女二人は、出資者である俺を差し置いて盛り上がっていた。
「で、その化粧水が超良くってー」
「いいなぁ。使ってみようかな」