ペアリングを外して

 話はファッションやメイク、更には下着の話なども始めてしまい、俺に入り込む隙はどこにもない。

 俺はいつも三村がするように、枝豆をくるくるしながらたまに口へと放り込んだ。

「あたし、ちょっとお手洗い」

 久美が席を立ち、湯本と二人になる。

 自然に背筋が伸びた。

「小出君、どうすんの?」

「何が?」

「彼女、超あんたのこと好きだよ」

「知ってる」

 言わんとしていることはビシビシ伝わってくる。

 三村と「何か」があったことを確信している湯本は、

「彼女の気持ちを裏切るな」

 と明らかに釘を刺している。

「それに、それ」

 指を差したのは、枝豆。

「これ?」

「そう。指でくるくるするの、菜月ちゃんのクセだから、やめれば?」

 そんなところまで見ているのか。

 恐ろしいやつだ。

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