ペアリングを外して
「そうなの? たまたまだろ」
三村との関係はあくまでも否定する。
知らなかったふりをして、俺はつまんでいた枝豆を頬張った。
行動一つ見逃さないような湯本。
いつだったか三村も偶然会ったと言っていた。
三村も同じように勘繰られたのだろうか。
俺の返答に呆れたような顔をしてため息をついた湯本は、グラスに半分入っているカクテルをグビグビと飲み干した。
「今日は本当にありがとう」
「いえいえ。安心した?」
「うん」
呼び立ててしまった湯本を改札まで見送る。
意気投合した女二人は親しげに別れの挨拶を交わした。
笑顔のままホームへと去っていく湯本は、本当に三村とのことは何も言わなかった。
「幸雄、ごめんね。疑ったりして」
「もういいよ」
「ほんとに不安だったの。でも、これからは大丈夫だから」