ペアリングを外して
この際、仕事なんてどうでもいい。
終わってない分は明日どうにでもしてやる。
「すぐに行く」
所在を聞き、俺は再びダッシュした。
「俺、帰る」
後輩に告げ、バサバサと帰り支度を済ませる。
「ええっ? 小出さん、続きは?」
「大丈夫!」
不安げな顔をする後輩を残し、またダッシュ。
走って駅まで行き、ちょうど来ている電車に駆け込む。
「駆け込み乗車はおやめください~」
車掌のアナウンスが俺に対する厭味にも聞こえた。
冗談じゃない。
こっちは人生かかってんだよ。
心の中で悪態づき、車内で一旦呼吸を整えた。
今日ほど会社から近い場所に住んでいて良かったと思ったことはないかもしれない。
駅からは再び走って自宅に向かい、部屋には入ることなく、そのまま車に飛び込んだ。
エンジンをかけてナビをセットし、発車。
今まではダッシュしていたが、事故ったら元も子もないから安全運転に努める。