ペアリングを外して

 そっか、と言って微笑む三村。

「ただいま」

 胸にジーンと響く。

 少し殺風景なこの部屋を、三村が彩る。

 傍にいること、隣にいること、笑ってくれること。

 それだけで、俺は十分幸せだ。

「お腹空いたー。ピザ、ピザ~」

「お前は食いもんのことばっかりだな」

 ピザ屋のチラシを手渡すと、かじりつくように見始める。

 食べ物のことになると、こいつは目の色を変える。

 それは中学時代から変わっていない。

 給食で余ったパンを二人で取り合うこともしばしばだった。

「うるさいなー。小出だって、エロいことばっかり考えてるんでしょ」

「は? 俺エロいことなんて今日は一言も言ってないけど」

「道端でギューしたくせに」

「触りたかったんだよ、お前に」

「ほら、出た。小出の触りたい」

「うるせーな。いいから触らせろ」

 
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