ペアリングを外して



 甘い夜はゆったりと過ぎていく。

 ピザを食べて、風呂に入って、中学時代のバカ話で盛り上がる。

 落ち着いて深夜バラエティを見ていると、そろそろ日付が変わろうとしていた。

 25日が近づくにつれ、三村は頻繁に携帯を気にし始める。

 きっと「A」からの連絡を気にしているんだと思う。

 黙って出てきたのだ。

 恐らく穏便には済まない。

「かかってきたら、俺が出ようか?」

 三村は首を横に振った。

「自分で話、付けなきゃ」

「そうか」

 0時を過ぎ、見ていた深夜バラエティが終わろうとする頃。

 やっと三村の携帯が鳴り始めた。

 やつが、「A」が、三村のいない部屋に気付いたのだろう。

「話、してくるね」

 すぐには鳴り続けている電話に出ず、着てきたコートを羽織っている。

「外は寒いし、ここで話せばいいだろ?」

「ううん、小出といると、助け求めちゃうかもしれないから」


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