ペアリングを外して

 お前が辛い思いをするくらいなら、いくらでも助けてやるのに。

 それでもケジメをつけようとする三村は、俺が好きになった姉御のままだった。

 電話は一旦鳴り止んだが、再びすぐに鳴り始める。

「じゃ、行ってくる」

 三村は笑顔のまま、靴を履いて外へと出て行った。



 それから、どれくらい時間が経っただろうか。

 30分?

 いや、もっとかな?

 テレビの前でうとうとし始めた俺は、三村の帰りが遅いのを心配して様子を見に行くことにした。

 上着を羽織り、靴をひっかけてドアを開ける。

 外に飛び出したと同時に目に飛び込んできたのは、ドアの横にうずくまって、涙を流している三村の姿。

 俺が出てきたことに驚いたのか、ゴシゴシと眼を擦っている。

「寒いだろ、入れよ」

 三村は頷き、俺の手を取った。

 その手は鳥肌が立つほどに冷たかった。

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