【短編】『D』
またうだうだ考えてると彼が
『もう一軒だけ付き合えたりする?』
て恥ずかしそうに、こちらを伺いながら聞いてきた。
私も恥ずかしかったけど
『・・・・・・うん///』て答えた。
『よかったーーー。断れるんじゃないかと思った。』
彼はそういうと安堵の顔を覗かせた。
車は直進し、自宅から離れていく。
『そんな、断らないよ////』て今、私かなり大胆発言じゃない?!
麻子の言う通り頑張ってるけど、頑張りすぎじゃない?!
『あっ、いや・・・あのー・・・きっ今日は金曜だし、
もうちょっと飲み足りないっていうか・・・、ちがっ・・・・・そんなに・・・の、
飲みたいってわけじゃなくて・・・あのー・・・』
さっきの言葉を弁解しようと頑張ってるけど、私なんだか深みにはまってない?!
金曜だし明日は休みよなんて言ってるようなものだし、
たぶん高いワイン飲んだのに飲み足りないとか、飲みたくないとか、
かなりテンパってます。
『ははは、七海さんは面白いね、普通にもうちょっと話たいだけなんだよね?』
て彼がやさしくフォローしてくれた。
『・・・・・うっ、うん////』
はーー、耳まで赤いよ絶対。
あれから15分ぐらい経つと、高層ビルに着いた。
エレベーターに入り、彼は最上階のボタンを押した。
エレベーターの扉が開くとそのフロア一帯がラウンジになってて、
また景色のいい席に案内してくれた。
私はまたワインをたのみ、彼はウィスキーをたのんでた。
「帰りはタクシーで帰るからのんでいい?」て聞きながら。
私は当然頷いた。私だけ飲むのもちょっと悪いしね。
『山口君は、ウィスキー好きなの?』
なんてうっかり言ってしまった。
彼の表情がちょっとムッとする。
しまった、できるだけ名前を呼ばないように気をつけてたつもりだったけど。
『誰?山口君って』
ふて腐れて彼は言ってきた。