【短編】『D』
【3】スイート
私は、今どこにいるの??
外の夜景はあまり変わらない。ちょっと周りのビルが近く見える気がする。
かなり広い部屋。へー、このビル、ホテルだったんだー。
だからエレベーターでちょっと降りたら、部屋だったんだ。
って感心してる場合じゃない!!どうしよう・・・・
あれから・・・彼の一目惚れ発言から20分ぐらいは経ったと思う。
私は何も言えなかった、びっくりしすぎて、ピクリとも動けなかった。
すると彼が「俺、寝る」って言ってラウンジを後にする。
支払いはまた彼が無理やり払った。
そのとき店員は「お部屋付けですね」っていったの。
私は、気にも留めなかった、いや彼の「一目惚れしたの」発言に動揺してたのは確かだった。
そしてなぜか、この部屋に直行してた。
部屋の入り口で私は「あっ、今日はここに泊まるんだね、じゃー、私帰るね、バイバーイ。」普通にサラッと言ったつもりだったんだけど
彼が「コーヒーでも飲む?もうちょっと付き合って?」部屋に引っ張りこまれた。
「えっ?!」って振り返って時には、もう部屋の扉が閉まってて、玄明はソファーに座り込んだ。
そして「お願い。コーヒー入れて、一緒に飲もう?」てお願いしてきた。
本当ならすぐにでも部屋から出たかったけど玄明の弱々しい声と寂しそうな顔に負けてコーヒーを入れることにした。
本当にそれだけ?
声が弱々しいとか寂しそうな顔のため?
私は私が今どうしたいのか分からなかった。
ただ、今は、コーヒーを入れることに集中しようとした。
コーヒーを二杯入れ玄明から一番離れたソファーに座った。
たぶんスイートルームかなんかじゃない?
だってソファーが三つもある。部屋の扉もここから見えるだけで三つある。
私達は何も語らず、ただコーヒーを飲んでた。
私は今、玄明が酔ってるのか酔ってないのかもここからでは分からない。
ただ早くコーヒーを飲み干そうとしてた。