【短編】『D』
ベットの中で私はいろいろ考えていた。
なぜ彼は涙を流したのだろう?
なぜ泣くほど寂しいのだろう?
今なら私、帰れるんじゃない?
など考えていると2本目の作戦が効きはじめた。
眠りに落ちそうになりはじめた時、扉が開いた。
当然今入って来てる人物は彼だろう。
私はかなり焦ってるけどとにかく寝てる振りを決め込んだ。
『・・七海さん?寝たの?』
彼の声はちょっと震えていた。
でも私は動かず、寝たふりを続ける。
彼はゆっくりベッドに近づく。そして・・・・ベットに入ってきた。
私は身を固めるように両肩をあげた。
どうしよう??とりあえず起きる?
などと考えてると、彼は私の左手を握った。
もうだめ、寝てるふりはできない!
「何にもしないって言ったよね?」って言おうとしたとき彼は弱々しい声で
『お願い、・・・手・・繋いだまま寝かせて。』
彼は私の手を両手で包み込むように握り、自分の顔に私の手をすり寄せながら眠りについたようだった。
私の手は汗だくだったと思う。でも心地よかった。
一回手を離して汗を拭こうかどうしようかと考えてたら、私は寝てしまっていた。