【短編】『D』


『ほっ本当なの?ちーくんなの?で、でも玄明じゃない名前。』


彼は微笑んだまま

『俺、小学校のころかなり小さかったからあだ名、ちーくんだった。小学校の高学年になると、背が伸びてゲンって呼ばれてたけど』




本当なんだ。信じられない。本当にこんなことあるの?!


『俺、駅前で出会った時も、昨日声掛けた時も、一緒に飲んでる時も、もしかしてって思ってた。だから初恋話聞いてみたの。んで、話を聞いて、石を見たら、自然に涙が零れてた。』




『うそー、ちーくんすごい久しぶりじゃない?!!』

思わず、抱きついてしまった///



『ちょっ、七海さん?』
焦ってる彼




『フフ、ごめんごめん。でもちーくん、顔変わってるんだもん全然分からなかった。』



彼からちょっと離れてまじまじと顔を観る



『そうかなー、俺的には七海さんの方が変わったと思うよ』


それからは、二人で懐かしみながら話し込んだ。

九州の片田舎でのこと、あの海のこと、釣を教えてもらったこと。

玄明はあの後、両親が亡くなりおばーちゃんに引き取られ神奈川に引越したこと。


私はあの後何度か親戚の家に行き、彼に会いに行ったけど会えなかったこと。



時間も関係なく話し込んで、気がつくと12時を回っていた。
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