【短編】『D』
麻子にはかなわなくて、嘘もつけそうにない。
『・・・・たぶん・・・行くと思う。』
行くと考えただけでも、ちょっと顔が赤くなる。
『あんたは、もう2年ぐらい彼氏も男もいないんだから、頑張ってきなよ。』
麻子はちょっと微笑みながら言った。
『うん・・でも、彼氏とかは、無理だと思うよ、だってお客さんだよ?』
なんだか自分で言ってちょっと落ち込む。
『『何言ってんの?!』』
由利恵と麻子がハモりながら言ってきた。
『お客とか、そういうのは関係ないよ、せっかく誘ってくれたんだから!』
楽天家の由利恵が諭すように言ってきた。
『あんたの尊敬する池田支店長の奥さんも実は、お客だったって話だよ。』
えっ?
『麻子。本当?!』
『そうだよ、この前の社員旅行の時、池田支店長の同期の神埼さんが言ってたよ。』
神崎さんと池田支店長は大学時代からの同期だ。この間、神崎さんから飲み会の時に、くされ縁だっていってたけど、その顔は全然嫌そうじゃなかった。
『だから、頑張ってきな!七海だけ彼氏が出来ないから昔約束してた
トリプルデートできないじゃん。今日は残業ないように私らもがんばるから。』
となりで由利恵がうんうんって頷いてる。
由利恵と麻子は、彼氏がいる。二人とも美人系だからね。
私はどっちかっていうと可愛い系に入るんだろうけど、全然可愛くなし、
背も158だし、胸も大きいほうじゃないし・・・・・・・
うーーーん、言い出したら止まらない。はぁーー、なんかブルー入ってきた。
『うだうだ考えてなくて、頑張るんだよ!!』
麻子がちょっと強め言われて、ビクってしながらも
『・・・・うん、ちょっとだけ頑張ってみる。』
そういって、三人は、業務に戻った。