Another Episod by………



初日は一番簡単な
本部を出てすぐの
繁華街からだった。
予想はしていたが、
やっぱり俺ばっか
1人でしゃべってた。
シカトかこいつ?
ガキのくせに
スカしやがって…。
なんかめんどくせぇから
イセルナ1人で歩かせてやった。
1人にしたら好き勝手
いろんなとこ行って
そのまま見失ってしまった。
迷子になっても
知らねぇからなー……。
そこらの店を覗きつつ
しばらく歩いてみると
小さな可愛らしい雰囲気の
雑貨屋にあいつは居た。
店の女の子と
何やら楽しそうに話している。
あいつもあんな顔するんだな…。
この時俺の目に写ったのは
焼きそばパンの時とはまた違う
年相応の女の子だった。
あれを見てしまうと
普段のあいつは背伸びしすぎて
いつか折れて
しまうのではないかと
思ってしまう。
それをしばらく
後ろで眺めながら
そんな事を思ってしまった。
そしてやっと声かけた。



「オイ!イセルナ!
お前そこまで逃げていいとは
言ってないぞ!」
「あ………忘れてた。
あんたの存在…。
別に逃げたわけじゃ
ないんだけど。
ちょっと1人で
歩いてみただけよ」
「頼むぜー!
お前チビだから
探すの一苦労なんだからな!」
「……迷子になれば
電話すればいーじゃない」
「……へッッ?
俺が迷子……?」
「フフフッ。
仲がいいんですね」
「いえ!
良くないんです!」
「そんな力一杯
言わなくたって
いーじゃねーかよッッ!」



仲いいって…………
俺達だってまだ
知り合って間もないんだぞ。
ふとイセルナに目をやると
さっきから同じ物を
ずっと見ている。



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