文化祭。恋は何故か突然訪れるみたいですね。私はお友達に恋したみたいです。
文化祭


「ひま。」


文化祭だっていうのに、彼氏なんてものがいないからって、教室でお留守番。

携帯をポチポチ。

楽しく話せるお友達がいれば、こんな時間も楽しいもんなんだろうけど。


「智弥(チヤ)ちゃん。」


空耳が聞こえたみたいだ。

最近多いんだよね、空耳。

暇だし、誰かに電話でもしようかな。あ、でもそんなことしたらラブラブイチャイチャ邪魔しちゃうかも。

やっぱメールにしよ。

私がカチカチポチポチ祥子にメール作成し始めたら、何かが高速で私の手から携帯を強奪しやがりました。


「ちょっと…返して。」


私から携帯を強奪したのは同じく彼女がいないお友達の尚輝(ナオキ)だった。


「もう無視しないって約束するなら返してあげるけど?どうすんの?」


話しかけられてないのに無視なんて出来るわけないじゃん。

彼女が欲しすぎておかしくなってしまったんじゃないだろうか、なんて思っていたら、どうやら顔に出ていたらしい。


「俺はちゃんと話しかけたけど、携帯に夢中な智弥ちゃんは気付かなかったんでしょ?お友達なのに、薄情な奴めっ。」


そう言ったっきり拗ねてこっちを見ない尚輝。

正直、うざったい。


「何かおごってあげるから、拗ねるなよ、気持ち悪い。」


軽く暴言を吐きながら尚輝の隣に立つと、尚輝は不機嫌そうにしながらも、私に合わせて歩き出した。
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