裸の王者
身体検査の日、
クラスのほとんどの男子が
、廊下の窓に顔をうずめ、
中庭越しの保健室を覗いていたとき、
当時から人ごみが嫌いな私は、
秘かに、藻岩山を眺めていた。
  うそである。

隣の中等部の体操着のソフトボールを
よだれたらして、眺めていたのだ。

たまたま、女子のクレームに反応した担任が
教室に駆けつけたときには、
廊下の窓に群がる男子と、
一人グランドの方を見ている私を、
対比するものとして、判断してしまったのだ。

クラス一の秀才も、廊下にいた。
彼は、勉強も一番だったし、処世術も、
この頃から、持ち合わせていたのかもしれない。

実は、このクラス一の秀才、、、
その後、、私と同じ、進学校でも、上位常連、、、
私はいつしか、落ちこぼれ。
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