擬態
なのでマカは実母を苦手としていた。

マサキとは月に何度か会うか、カノンとは年々減っていた。

そのカノンがマサキに頼んで、あの人形を作らせた。

ならばその最終目的は―。

「…まさか、マノンを生き返らせるつもりか?」

「ご名答」

マサキはあっさりと認めた。

だがマカの表情は複雑に歪んだままだった。

「…それを当主が本当に認めたのか?」

「『出来るなら』、良いってさ」

マサキは深く息を吐いた。

「『出来るなら』って…もう出来ないだろう? この件には私が絡んでしまった」

そう言ってふと気付いた。

店主はきっと、このことを知っていたに違いない。

けれどあえて言わなかったのは、きっとマカを思ってのことだろう。
< 20 / 45 >

この作品をシェア

pagetop