擬態
マカは赤眼のまま、走り出した。

マノンの首を掴もうとするも、僅かな差で避けられる。

それから恐るべきスピードで急所を狙うも、軽々と避けられてしまう。

―死人に何故こんな力がっ…!―

マカの顔に苦渋が滲んだ。

その心境を察したように、マノンは笑みを浮かべた。

「母さんがしてくれたことは、ボクだけの為の儀式だったからね」

「っ! …なるほど。そういう意味、だったのか」

マカはその笑みで悟った。

あの人形の本当の意味を。


< 30 >
< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop