擬態
その人の絶望と幸福を利用して、得た結果が、目の前の闇のモノ。

すでに人成らざるモノなんていう次元じゃない。

あっては成らない、闇の眷属だ。

「マノンっ! 頼むから闇へ返れ! この世に存在するだけで災いとなるお前を、このまま野放しには出来ないんだ!」

「死ぬことを頼むなんて、ヘンな姉さんだね。イヤに決まっているじゃないか」

マノンは避けるだけで、攻撃を仕掛けてはこない。

だが体力の限界を、マカの方が感じていた。

すでに息は上がりつつあるのに、マノンは息一つ切らせていない。

…そういう肉体的な機能が無いのかもしれない。

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