天然水 -雅紀side-
俺はひめにいつでも
家に来て欲しくて
鍵を渡した。
今でも鍵を渡した事は
正解だと思う。
だってさ、
鍵を渡した次の日から
家に帰るのが
楽しくなった。
玄関のドアを開けると
“おかえり”と言って
迎えてくれるひめの
笑顔に何度も
ドキドキし恋をした。
そんな小さな幸せは
一週間ほどで終わった。
冬休みが終わる
2、3日前に社長が
ここにいない事を知った
待っていれば帰って来る
そう言われたけど、
待てなかった。
だから東京まで
社長に会いに
行く事にした。
その日は
俺を溺愛してくれていた
客と会った。
その客以外はみんな
納得してくれた。
どうしても嫌。しか
言わなかった客を
説得する事、3時間。