六花伝
薄れゆく意識の中で思った。
伝えなくては。
あたしといつも共に居てくれた人に。
今なら分かるの。
あなたがどんな思いでここまで来てくれたか、全部分かったから。
とっても優しい人。
寒い、寒い…
言わなくちゃ…。
「の…ぶひこ……、あいして、る…」
彼が目を見開いたように見えた。
顔にしずくが落ちてくる。
寒い。
ひたすらに眠い。
もう限界みたい。
もし、来世があったなら。伸彦、次こそあなたと一緒に…………………