六花伝
「そろそろ、休みますか。」
「ええ、日もすっかり高くなりましたしね。」
畑を耕す手を止め、彼らは腰を下ろす。
地面は太陽にじりじりと熱せられ、体が焼かれるようだ。
汗が嫌でもにじみ出てくる。
「皆さん、ご苦労様です。」
使用人たちは声を聞き、そろって笑みを浮かべた。
今日も、来た。
「美都さん、今日も来てくれたのかい。この暑い中、ご苦労様。」
「こんにちは。」
少女は背負っていた籠を置き、草を足でかきわけながら駆け寄った。
「皆さんお水です。どうぞ。」
差し出された沢山の竹筒を我先にと受け取り、使用人は渇いた喉を潤す。
< 6 / 50 >

この作品をシェア

pagetop