華桜学園


――――二年前





「來ニィ、僕…白泉先輩が好きなんだ……」


俺の弟の瑠は、密かに白泉仁という男に思いを寄せていた。





そのことを知った俺は、その白泉仁がどんな奴か気になり見に行った。


その時は、学校も同じだったから見つけるのはすぐだった。




第一印象は、ヤバいことをしていそうな馬鹿っぽい不良だった。


その頃の俺は、世間でいう優等生だったから、余計にそう感じたのかもしれない。






あんな奴のどこが良いのか、分からなかった俺は瑠に聞いてみた。


そしたら、瑠はキラキラした笑顔で

「僕が不良に絡まれているところを助けてくれたんだよ」

と言った。





俺は、あんな馬鹿っぽい奴が人助けするのかと思ったが、瑠が言うんだからそうなんだろうと、白泉とかいう奴を見直した。




そんなある日のことだ。


瑠が満面の笑みで、こう告げた。



「僕、白泉先輩と付き合うことになったんだよ!!!!」


俺にそれを嬉しそうに話す瑠の姿は、忘れるはずがない。









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