甘い蜜
蜜7 気持ち
再び2人っきりになった玄関。
計画が狂ってしまい、最早順番通りに事は運べない。
俺は、麻理亜を見下ろす。
カタカタと震えていた麻理亜は、ゆっくりと口を開く。
「……婚約者、いたんだ…」
「麻理亜」
どうしてくれたんだ。
きっと麻理亜は勘違いをしている。
その目が語っていた。
………私は、やっぱり誰にも愛されたらいけないんだ。
違う。そんなことはない。
俺は、今にも消えてしまいそうな麻理亜の腕を離さないようにつかむと、寝室へ連れて行く。
途中、キッチンを見ると、中途半端な料理。
カルボナーラはまた今度だな……
キッチンを通り抜けて寝室のベッドの上に麻理亜を座らせて、向かい合わせに自分も座った。